2023年5月にコロナウイルス感染症(COVID-19)が5類に移行して9カ月が経った。世界中に激震が走り、日本もかつてない混乱に見舞われた。それにともない、100兆円にものぼる国費が投入されたが、一向に総括しようという動きは見られない。莫大な税金を投入したにもかかわらずだ。カネとホンネ調査研究所では、今後発生するかもしれないパンデミックやそれに類似した危機に冷静に対処するため、アンケートを利用した独自調査によって、COVID-19がどういうものであったか振り返ることとした。本レポートは連載によってお届けする。

調査は全国の15~79歳を対象にWebアンケート形式で実施した。まずは、COVID-19にどのくらいの人が罹患したかをみてみよう。ここで注意したいのは感染したかどうかではなく、罹患したかどうかを確認している点だ。コロナ禍で連日報道されていた感染者数はPCR検査で発覚した無症状者も含まれる。しかし知りたいのは、病気としてのCOVID-19が人体に与えたダメージである。そのためアンケートの設問では「新型コロナにかかった回数 ※発熱等の症状を伴うもの」を聞いている。

結果は以下グラフのとおりだ。31.7%がCOVID-19に罹患したと回答。うち、複数回罹患したのは6.1%であった。ここから15~79歳の罹患者数は3,000万人程度と推計される。2020年1月に国内で感染が確認されてから4年。季節性インフルエンザの罹患者数が毎年1,000万人以上であることを踏まえて、同等かそれ以上の感染力、発症力であったと評価できるであろう。

若年層の多くがCOVID-19に罹患している

年齢ごとの分布をみてみよう。一見して分かるように、年齢にともなう顕著な傾向がみられる。10代は54.2%と半数以上、20代でも47.1%と半数近くが罹患している。いっぽう、60代は20.2%、70代は18.3%にとどまる。カゼは若い方が罹りやすいというが、COVID-19でも同様の傾向がみられた。

症状はさまざま。リスクは高い

続いて、COVID-19に罹患した人にその症状を聞いた。辛かった[インフル程度]がもっとも多く42.3%、次いで、普通[カゼ程度]が34.8%であった。それ以上の症状である「非常に辛かった」は19.8%、「入院した」は3.1%であった。COVID-19はカゼ程度というのはある意味正しく、COVID-19を甘く見てはいけないというのも正しいようだ。

高齢の方が症状は軽い?

症状についても年齢ごとの分布をみてみよう。罹患回数と同様に、こちらも年齢による傾向が顕著に表れた。年齢があがるほど、症状は軽くなっている。「高齢者は重症化しやすい」と言われているため、一般のイメージとは異なるのではないだろうか。しかし “重症” の解釈には注意が必要だ。自力で呼吸できず、人工呼吸器や、場合によっては人工心肺を使うレベルの症状を指している。しかしながら、重症者はもっとも多い日で1,787名(2021/9/2)と人数が少ないため、当該アンケートに傾向が表れる規模ではない。

つまり、高齢者全般で症状が重いわけではなく、持病等のある人に重症化リスクが高く、それが高齢者に多いということであろう。そうでない場合、高齢者よりも、むしろ若年層の方が症状は重く現れる傾向にある、ということのようだ。

(厚生労働省)データからわかる-新型コロナウイルス感染症情報-

COVID-19は後遺症が酷い

後遺症について聞いたところ、44.3%が1カ月以上の後遺症があると回答した。カゼやインフルエンザとの大きな違いはこの点であろう。カゼでも長引くことはあるだろうが、罹患者の半数近くが後遺症を訴えるのは尋常ではない。自由回答には以下のようなコメントが寄せられた。

・ぜんそくのような空咳(乾いたような咳)が半年くらい続いた
・咳がおさまるまで1か月程度かかった
・いつでも鼻が詰まってる感じかずっと続いてる
・味覚がなくなる、匂いがしない
・頭にモヤがかかっている感じがする

後遺症に関しては年齢による傾向はあまりみられないようだ(次のグラフ)。

COVID-19はいったいどんな病気だったのか

15~79歳の31.7%が罹患し、その症状はカゼ程度のものから入院までさまざまであった。年齢ごとにみると、高齢者は罹患回数が少なく、症状も軽い傾向にある。この点は世間のイメージと乖離しているだろう。そうすると、コロナ対策の方向性やターゲットが妥当であったのか検証する必要がでてくる。

後遺症に関しては、1か月以上、症状の続いた人が44.3%と半数近くにのぼる。ひょっとすると、感染対策に割くリソースを回復後のケアに回すべきだったかもしれない。こちらも検証が必要であろう。

さて、皆さんはどのような感想を持っただろうか。COVID-19に関しては自由に意見を言えない風潮があるが、言論を封じるのは最低の行為だ。カネとホンネ調査研究所は自由な議論がなされることを切に望んでいる。

次回はCOVID-19ワクチンについて振り返る。是非、ご期待いただきたい。

調査概要
調査名称:新型コロナやワクチンにおける症状等についてのアンケート
調査期間:2024年2月7日
調査対象:全国、15~79歳の男女
調査数 :835名
調査方法:Webアンケート
※令和2年国勢調査の性年代別人口をもとにウエイトバックした

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