奨学金を借りた20代から30代のサラリーマンに、その金額と年収を聞いた。年代別にみた場合、奨学金の額はあまり変わらないが、年収は20代が400万円のところ、30代が470万円であった。これは当然であろう。年齢にともなってキャリアが形成され、その結果、年収があがったのである。10年のキャリアで年収が18%あがったわけだ。

問題は男女差である。男女別に比較した結果を見てみよう。

男女で奨学金は同じ、しかし年収に大きな差

奨学金の額は男性が279万円で、女性が284万円とほとんど変わらない。つまり、学業を修めるにあたり、金銭的に支援が必要な額は男女で変わりがないということだ。教育にかかるコストは男女で同じだと言い換えても良い。

しかし、年収は男性が478万円であるのに対し、女性は385万円に過ぎない。男性の年収は女性より24%多い計算だ。10年のキャリアによる年収アップの18%を超えている。多大なコストを払ってきた女性からすると、とても納得いかないであろう。

2023年に日本が議長国となった「G7男女共同参画・女性活躍担当相会合」の共同声明では、経済面でのジェンダー格差是正が盛り込まれた。しかし、奨学金返済という観点で見ても、G7で男女賃金格差が最も大きい日本が抱える問題が露呈された。

少子化の進む日本で、労働生産性をあげるのは至上命題である。硬直化した労働慣行をあらためなければ、その結果は、そのまま我々に返ってくるだけである。

調査概要
調査名称:奨学金についてのアンケート
調査期間:2023年12月11日
調査対象:都市部(東京、愛知、大阪、福岡)に居住する、20~39歳で会社員の男女
調査数 :912名。うち奨学金利用者は249名
調査方法:Webアンケート

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