奨学金を借りた20代から30代のサラリーマンに、その金額や返済期間を聞いたところ、奨学金の額は平均で282万円、返済期間は13.5年であった。利子を除くと年間の返済額は20.9万円、月間だと1.7万円の計算となる。
産労総合研究所によると、大卒の初任給は21.8万円。手取りだと18万円程度になるであろう。そこから1.7万円の支払いをするのは楽ではない。さらに、20代と30代を比較すると明らかなように、奨学金の借入額や返済期間はほとんど変わっていない。奨学金の返済に困窮する事例等が報道されているが、奨学金を取り巻く環境はここ20年変わらず、課題は改善されていないのだ。
次に、それぞれの内訳を詳しくみてみよう。
借入額は200万円台が最多。600万円以上も
金額の分布をみてみると、200万円台が32.1%でもっとも多い。大学の4年間、毎月5万円程度を借り入れたのであろう。高校や大学院でも奨学金を利用した場合、当然金額は大きくなる。500万円以上が11.2%、600万円以上でも5.6%である。
返済期間は5年以下が26.9%ともっとも多く、6~10年、11~15年と年数が増えるにしたがって割合は減っていき、16~20年で反転し24.9%となる。一般的な返済期間は最長20年であるため、最大限の猶予を設けようとしているのだ。
奨学金は家庭環境に依らず学習する機会を得られる優れた手段である。しかし、社会に出てすぐ足かせをはめる側面もあり、若者の自由な挑戦を阻んでいる。奨学金のほとんどが返済の必要な貸与型であるが、給付型の奨学金を増やす等の対応が必要であろう。
調査概要
調査名称:奨学金についてのアンケート
調査期間:2023年12月11日
調査対象:都市部(東京、愛知、大阪、福岡)に居住する、20~39歳で会社員の男女
調査数 :912名。うち奨学金利用者は249名
調査方法:Webアンケート