年収の高い人は読書量が多いのだろうか、また、どのような本を読んでいるのだろうか。カネとホンネ調査部では年収と読書の関係を紐解くべく、20歳から59歳のサラリーマンを対象に、読書についてのアンケートを実施した。

内容に入る前にひとつ注意点がある。昨今は実力主義になりつつあるとはいえ、まだまだ年功序列が色濃く残っており、年収が高い人は年齢も高い傾向にある。実際に本調査における年収区分と平均年齢をみると以下の通りとなる。そのため、ある傾向が一見して年収に関係しているようにみえても、じつは年齢に関係している場合がある。例えば、「年収が高い人は、年収が低い人よりも血圧が高い」と結果が出たとしても、年収が高いから血圧が高いのではなく、年齢が高いから血圧が高いだけであったりする。注意して観察することが必要だ。

■年収区分と平均年齢
400万円未満 / 平均39.7歳
400万円~599万円 / 平均40.5歳
600万円~799万円 / 平均42.6歳
800万円~999万円 / 平均43.7歳
1,000万円以上 / 平均48.7歳

それでは、前置きはこれくらいにして、結果をみてみよう。

「ビジネス・経済」ジャンル

仕事に直結するジャンルである「ビジネス・経済」は、年収と読書の関係が色濃く出ている。年収1,000万円以上の51.1%が「よく読む」「たまに読む」と回答したのに対し、年収400万円以下は20.4%であった。なお、「よく読む」がもっとも多いのは年収800万円~999万円の22.4%であった。年収1,000万円以上の予備軍であろうか。

念のため、年齢との関係もみておこう(次のグラフ)。40代が若干少なくなっているが、年齢による差はほとんどない。ただし、「ビジネス・経済」ジャンルに関心があるのは、単に職業的な理由かもしれない。次に、一般教養のジャンルである「政治・社会・歴史」をみてみよう。

「政治・社会・歴史」ジャンル

グラフをみると一目瞭然だ。一般教養のジャンルである「政治・社会・歴史」についても、年収によって読書習慣に大きな違いがみられた。年収1,000万円以上は半数以上が一般教養について読書しているが、年収400万円以下は16.3%、600万円~799万円でも22.2%に留まる。

ここでも、年齢による違いはあまりみられなかった(次のグラフ)。

仕事に直結する「ビジネス・経済」だけでなく、一般教養である「政治・社会・歴史」についても、年収が高い人ほど知識の習得に努めていると言っていいだろう。どうやら、幅広い知識は結果的にカネになるようだ。

自分の仕事・業務に関する本

次に、もっと直接的に「自分の仕事・業務に関する本」を読書しているか聞いた。これまでみてきたジャンルの「ビジネス・経済」「政治・社会・歴史」と比べると、若干年収による差が小さくなっているが、一定の傾向がみられた。特に、「よく読む」割合は年収1,000万円以上にもっとも多く20.0%であった。年収があがってもなお、スキルアップを図っているようだ。

年齢との関係をみると(次のグラフ)、読者層は、やや若い人に多いようだが、その差は最大でも6.7ポイントであり、年齢による影響はほとんどないと言えるだろう。

(番外編)新聞

読書とはいわないが、新聞についても比較のために聞いた。こちらもグラフから一目瞭然で、新聞を読むことと年収には強い関係がみられる。特に、「よく読む」層のギャップが強烈だ。1,000万円以上が55.6%であるのに対し、400万円未満は11.0%とその差は44.6ポイントにのぼる。まさに「日経ヨクヨム」。いやいや、これではステマを疑われかねないが、カネとホンネの調査は断じて中立だ。

なお、新聞に関しては年齢の影響が少なからずあるようだ(次のグラフ)。読者層には、20代と50代で15.7ポイントの差がある。しかし、それ以上の関係が年収と新聞を読むことの間にあることは前述の通りだ。

本を読もう!

読書習慣は年収の多寡で大きく異なることが分かった。年収の高い人は貪欲に知識の習得に励んでいるのだ。もし仮に、現在は低年収に甘んじているのであれば、今すぐ本屋に行こう。それがすぐ収入にあらわれることはないだろうが、人生100年時代、いつ何が起こるか分からない。学び続けることには大いに意義があるだろう。

調査概要
調査名称:読書についてのアンケート
調査期間:2024年3月7日
調査対象:都市部(東京、愛知、大阪、福岡)に居住する、20歳~59歳の会社員男女
調査数 :823名
調査方法:Webアンケート