2023年10月より、事業者間での取引にあたり、適格請求書(インボイス)をもとに仕入れの消費税を控除する制度がスタートした。ただし、インボイスを発行できるのは課税事業者だけで、これまで消費税の納付を免除されていた免税事業者はインボイスの発行ができない。つまり、免税事業者に発注すると、発注にかかる消費税を控除できず、発注者が損をしてしまう。そうすると、発注者は課税事業者への発注に移行しようとする。事実上すべての事象者を課税事業者へと誘導する制度である。
このインボイス制度、購買や経理の担当者を除けばサラリーマンには直接的な影響はないが、制度がスタートした現在、彼らはどのように受け止めているのだろうか。
全国のサラリーマン398名を対象に、インボイス制度をどう思うかを聞いたところ、直接的な関係はないにもかかわらず、認知度は70.1%であった。内訳をみると、制度に賛成する「免税がなく公平である」は25.9%、制度に反対の「零細事業者を圧迫している」は42.0%であり、反対の声が多かった。「その他」には以下のような意見が寄せられた。
「その他」の意見
- 手間が掛かり過ぎ
- 処理に余計な手間がかかるのにメリットが全くない。税収増より経費が4倍もかかる本末転倒だと思う。
- 制度が複雑になり無駄が増えるだけ。もともと消費税率の混在が原因なので、一律8%にする等して混在を廃止すればよい。
益税?「そのくらい多めに見てやれよ」
これまで、零細事業者は免税事業者になることで、事業活動で得た消費税を納付せず、自分のものしてきた。税の負担という意味では、インボイス制度は公平である。しかしながら、公平さよりも、零細事業者を擁護する意見が多いのは、「ただでさえ苦しい零細事業者なんだから、そのくらい多めに見てやれよ」と考えるサラリーマンの方が多いためであろう。
調査概要
調査名称:税金や社会保険料に対する考えについてのアンケート
調査期間:2023年10月25日
調査対象:全国、20~59歳の給与で生活する男女
調査数 :398名
調査方法:Webアンケート