カネとホンネ調査研究所は、全国、20~59歳の給与で生活する男女398名を対象に、2023年10月25日、税金や社会保険料に対する考えについてのアンケート調査を実施しました。
カネとホンネ調査研究所(https://kanetohonne.jp)は、働く世代の日常的な懐事情や、人生の節目における金勘定を、その本音とともに調査することで実態を解明し、広く世の中に提供することを目的としています。
今回の調査では、2023年11月上旬を目途に検討を進めている総合経済対策に対する期待が薄いこと、目玉として検討されている4万円の所得税減税についても、可処分所得が増えるにもかかわらず、少なくない反対意見がみられることが分かりました。背景には、国民負担率が上昇を続けるなか、サラリーマンの約6割が手取りが増えないことに不満を募らせ、そして将来に不安を抱いていることがあげられます。増税メガネと揶揄される岸田首相ですが、増え続ける国民負担にしっかりと目を向け、増税メガネを外して、岸田首相自身の眼で現実をみつめる必要があるのかもしれません。
調査サマリー
1. 岸田内閣の「総合経済対策」、ほとんど期待されず!?
2. 4万円の所得税減税、ありがたい41.5% vs 意味がない34.2%
3. サラリーマンの悲痛な叫び。手取りが増えない、将来が不安…
4. 「増税メガネ」うまい言い回しだと思う42.0%
1.岸田内閣の「総合経済対策」、ほとんど期待されず!?
2023年11月上旬を目途に検討を進めている総合経済対策。これによって、近い将来、生活がどのようになると思うかを聞いたところ、前向きな回答の「生活は楽になると思う」「やや生活は楽になると思う」は10.1%にとどまり、後ろ向きな回答「生活は厳しくなると思う」「やや生活は厳しくなると思う」が57.3%となりました。4万円の所得税減税などが報道されていますが、残念ながら、ほとんど期待されていないようです。
「その他」には以下の意見が寄せられました。
・厳しいまま何も変わらない。
・期限付きの減税や給付金バラマキでは根本的な対策にはならず、何も変わらないと思う。むしろインフレが加速する方向になりそう。
・そんな小手先の対策じゃ取り返せないくらい経済状況は悪化しているし、現役世代は日本を見限っている。
2.4万円の所得税減税、ありがたい41.5% vs 意味がない34.2%
総合経済対策の一環として検討している4万円の所得税減税。認知度は80.4%、実に8割以上にのぼり、関心の高さがうかがえました。賛成意見の「少額でもありがたい」は41.5%、反対意見の「少額なので意味がない」は34.2%でした。賛成意見がやや多くみられますが、その差は7.3ポイントにとどまります。可処分所得が増えるにもかかわらず反対意見がみられるのはどうしてなのでしょうか。
「その他」をみてみると、以下の意見が確認できました。
・ありがたいが、見当はずれの感がある
・小手先の思いつき
・消費税減税とかの方が公平性や消費の促進が上がるかと
・他で結局増税になる可能性がある
つまり、世論に押される形で減税の検討を始めたため、大局観がなく、経済状況や国民生活を洞察したうえでの政策ではないことを見透かされているのかもしれません。
3.サラリーマンの悲痛な叫び。手取りが増えない、将来が不安…
社会保険料を含む税金をどのように感じているかを聞いたところ、トップは「天引きが多く、手取りがいっこうに増えない」の59.8%、次いで「負担が増える一方で、将来の生活が不安」の57.3%となりました。サラリーマンの約6割が手取りが増えないことに不満を募らせ、そして将来に不安を抱いている様子が浮き彫りとなりました。
次に多かった回答は、「国民負担が大きく、未婚者が増えている原因のひとつと思っている」「国民負担が大きく、少子化の原因のひとつと思っている」で、割合はそれぞれ35.4%、34.2%でした。国民負担率の上昇を肌で感じているサラリーマンからすると、大きすぎる国民負担が、生涯未婚率の増加や少子化の原因だと考えるのは当然なのかもしれません。
4.「増税メガネ」うまい言い回しだと思う42.0%
岸田首相の「増税メガネ」。認知度は7割の69.8%にのぼりました。名づけを評価する「うまい言い回しだと思う」は42.0%、「茶化すのは良くない」と否定的な意見は23.9%でした。
調査は10月25日に実施。ちょうど岸田内閣で4万円の所得税減税を検討しているところです。まさか、増税メガネと言われるのが嫌で減税するわけではないと思いますが、増え続ける国民負担にしっかりと目を向け、増税メガネを外して、岸田首相自身の眼で現実をみつめる必要があるのかもしれません。
【調査概要】
調査名称:税金や社会保険料に対する考えについてのアンケート
調査期間:2023年10月25日
調査対象:全国、20~59歳の給与で生活する男女
調査数 :398名
調査方法:Webアンケート