異次元の少子化対策を進める岸田政権。その手段の是非はさておき、子をもうけることは幸せなのだろうか?カネとホンネ調査部では、20歳から59歳のサラリーマンを対象にアンケート調査を実施し、子あり、子なしと幸せの関係を紐解いた。

まず、結婚と子あり、子なしの割合を確認しておこう。サンプルは1,106名(※)で、結婚している人はグラフのオレンジ、結婚していない人はブルーになる。割合は図に示した通りだ。
※結婚、子有無の質問に「その他」と回答した人を除いた

家族のありように満足しているのは?

まず、家族形態や家族の絆について現在満足しているかどうか聞いた。回答は「とても満足」から「とても不満」までの6段階。積極的な満足をあらわす「とても満足」「満足」を満足であるとみなした。

一見して分かるが、家族のありように満足しているかどうかは、子あり、子なしより、結婚しているかどうかに左右されるようだ。意外だが、子あり夫婦、子なし夫婦で家族への満足度は変わらない。続いて、仕事について確認してみよう。

仕事が充実しているのは?

次に、仕事の内容、仕事上の立場などに満足しているかどうか聞いた。回答は同じく6段階で、「とても満足」「満足」を仕事が充実しているとみなした。

結婚や子あり、子なしによって、仕事の充実度はあまり変わらないようだ。結婚しておらず、子なしの人がやや低いようだが、おおむね3割程度がやりがいをもって仕事に取り組んでいることが分かる。

幸せを感じているのは?

最後に、総合的な評価として、日常生活全般に満足しているかどうか聞いた。回答は同じく6段階で、「とても満足」「満足」を幸せとみなした。

家族のありようと同じく、幸せを感じるかどうかは、子あり、子なしより、結婚しているかどうかに影響されるようだ。事前の予想では、子のいるほうが、生活全般においては幸せを感じるだろうと思っていたが、子なし夫婦とまったく変わらない結果であった。

ひょっとすると少子化対策よりも結婚したい人を支援する政策を考えたほうが、国民の幸せに資するのかもしれない。だって、結婚したら子ありも子なしも幸福度は変わらないのだから…。2021年に国立社会保障・人口問題研究所が実施した「第十六回 出生動向基本調査」によると、「結婚したら子どもを持つべきだ」という考え方に「まったく賛成」「どちらかといえば賛成」と答えた未婚女性は36.6%にとどまった。少子化対策を否定したいわけではないが、もっと国民のホンネに寄り添った政策を考えていくべきではないだろうか。

第16回出生動向基本調査(結婚と出産に関する全国調査)

調査概要
調査名称:日常生活における満足度についてのアンケート
調査期間:2024年3月27日
調査対象:都市部(東京、愛知、大阪、福岡)に居住する、20歳~59歳の会社員男女
調査数 :1,112名
調査方法:Webアンケート

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